日本陸連(JAAF)「競技会ガイドライン」要点まとめ
この記事は以下の2つの内容を中高生の選手・保護者向けに要約したものになります。
JAAF記事:
https://www.jaaf.or.jp/news/article/23064/
ガイドラインPDF:https://www.jaaf.or.jp/pdf/about/guidelines/youth_competition.pdf
RizeAC BLOG
育成年代(中高生)の競技会は、どう変わる?
日本陸連(JAAF)「競技会ガイドライン」要点まとめ
安全(暑熱)と長期育成の観点から、競技会の「時期・回数・運用」をどう捉えるか
2025年12月17日、日本陸連(JAAF)は「育成年代における競技会ガイドライン」を公表し、2026年1月15日に公式記事で背景と狙いを説明しています。 本記事は、その公式記事とガイドラインPDFに書かれている内容をもとに、中高生・保護者向けに、要約しすぎず整理したものです。
この記事の結論(先に要点)
- 7〜8月の競技会開催は原則回避。例外(冷涼地・室内・早朝/夜間など)はあるが、JAAFは「例外中の例外」というスタンスを示している。
- WBGT31以上の暑熱環境では、競技会の中止・中断など安全措置が必要。
- 競技会カレンダーは、過密日程を避け、試合数の適正化・均一化、全国・地域大会の役割整理などを含めて見直す方向。
- そして全体として、これまで「夏休み時期の主要大会開催」が前提になっていた日本の運用は、暑熱の現実を前にこのままでは成立しにくい(限界に近い)ことが、方針から読み取れる。
1. ガイドラインの位置づけ(何のための方針?)
JAAFが示す「育成年代における競技会ガイドライン」は、育成年代(中高生など)の競技会を、 安全・公正・多様の観点で整備し、競技会を通じた成長(挑戦や学び)も含めて支えるための考え方です。
いま何が問題として扱われているのか(やんわり整理)
暑熱環境が年々厳しくなる中で、これまでのように7・8月の競技会の開催や、「夏休みの時期に合わせて」主要大会が開催されてきた運用は、 安全面の観点から、このまま続けるのが難しくなっている――この問題意識が、今回の方針全体の底流として読み取れます。
2. 暑熱対策:7〜8月「原則回避」+例外は「例外中の例外」
ガイドラインに書かれている方針(重要部分)
- 7〜8月(猛暑日になりやすい時期)の競技会開催は原則回避
- 例外として、冷涼地域・室内施設・早朝/夜間などで、十分な安全対策を講じた場合に限り実施
- WBGT31以上の暑熱環境では、中止・中断などの安全措置が必要
公式記事(ブリーフィング)では、上記の「例外」について「例外中の例外」という表現が用いられ、 簡単には例外を認めないぞ、というスタンスが読み取れます。
3. WBGTとは?(暑さの危険指数)
WBGT(暑さ指数)は、熱中症リスクを判断するための指標です。 気温だけではなく、温度・湿度・日射(直射日光)・輻射熱(照り返し)・風など、 体にこもる熱に関係する要素を総合して「いまの環境がどれくらい危険か」を表します。
WBGTは「総合評価」
- 気温:体温が上がりやすい
- 湿度:汗が蒸発しにくく、体熱を逃がしにくい
- 日射:直射日光の負荷
- 輻射熱:照り返し・地面や周囲からの熱
- 風:熱を逃がせるか(無風だと危険側に振れやすい)
4. 参考:2025年 新潟のWBGT31超(日数)
環境省サイトのデータ(2025年7月・8月)をもとに、「その日のWBGT最大値が31以上」となった日数を数えると次のとおりです。
| 月 | WBGT31以上の日数 |
|---|---|
| 2025年7月 | 8日 |
| 2025年8月 | 10日 |
| 合計 | 18日 |
※本記事内の「新潟のWBGT31以上の日数(2025年7月:8日、8月:10日)」は、環境省サイトのデータを日別最大WBGTで集計したものです。
出典(公式リンク)
今回発表されたガイドラインを読み、私自身、思い当たる節が数多くありました。昨年、U16リレーに出場した際には、暑さの影響による競技中断やタイムテーブルの変更が実際に起こりました。
また私自身も、役員業務や選手のアップ補助を並行して行う中で、水分補給をする暇もなく、暑さで倒れるのではないかと感じる場面が何度もありました。
同時に、過酷な暑さの中で競技を行い、体調を崩してしまう選手の姿も多く目にしてきました。
本音を言えば、昨今の猛暑の中で試合をさせたいと思っている指導者はいないと感じます。
しかし一方で、中学生においては毎年7月に行われる指定大会で標準記録を突破しなければ、全国大会への道は開かれないということもあります。
指定大会以外でどれだけ良い記録を出しても、出場資格につながらないという現実がある、そして選手の想いも目の前にある以上、現場は常に難しい判断を迫られています。
こうした非常に厳しい条件の中で、選手・指導者・運営に関わるすべての関係者が活動しているのが、今の日本の競技環境だと思います。
だからこそ今回のガイドラインは、「これまで当たり前とされてきた競技会の在り方が、すでに限界に近づいている」という現実を、静かに、しかし明確に示しているように感じました。JAAFが公表した内容をそのまま読むと、かなり強い表現が使われており、「主催をするかどうか」というレベルであることがわかります。試合の開催に当たっては主催、共催、後援などの立場がありますが、日本陸連は一番責任を負う立場である主催者という立場を継続するかどうか検討に入っているということです。
この方針を一つのきっかけとして、記録や結果だけでなく、選手の安全と長期的な成長を第一に考えた環境づくりに、私自身もより一層努めていきたいと思います。
